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スタイルへの共感と個性的役割がチームをつくる

複数の人が一定期間共同作業をする状態にあることを「チーム」とすると、家族、会社の組織、スポーツチーム、趣味のサークル活動などいろいろありますよね。

 

よく「目標に向かって一丸となって」と言われますが、目標だけでチームが前へ進むかというと、必ずしもそうではないな、というのがこれまで生きてきた私の実感です。

 

みなさんは、いかがですか?

 

目標は大抵「1位になる」とか「前年を上回る」とか「できなかったことができることになる」といったことが掲げられます。

 

それが個人的な活動で、自分の心の底から湧き上がってくる内発的なものであれば、きっと素晴らしい成長につながるでしょう。

たとえ目標に達しなかったとしても努力や改善を続けていくのではないでしょうか。

なぜなら、やりたいから。それをやっているときが楽しいから。

 

では、チームの場合はどうでしょう?

目標は得てして自分たちで考えるより、与えられる場合が多いかと思います。

そしてそれは独自性がなく、誰もが「そりゃあ、そうなったらいいよね」という否定できない、しかし現実的に厳しい理想状態だったりします。

他から与えられた理想的なゴールや状態は、それを実行する人たちにとっては苦しいものでしかありません。

もっと巧妙になってくると「自分たちで考えるように」と言われて、“言わされる”場合もあるでしょう。

これでは、やる気を失ってしまうのも無理はありません。

 

チームの目標はとても「やらされ感」が生じやすいものであると言えます。

 

では、一体どうしたらいいのでしょうか?

 

「目標」という結果だけを求める組織は、往々にして「活動の楽しさ」という視点を見失っています。

結果に直結する機能的な働きにばかり意識が行き、そこで発生する活動がタスク(課せられた仕事)でしかないということが往々にして起こります。

 

ここで注目したいのは、個人の場合は「やっていること自体が楽しい」ということが行動のモチベーションになっているということです。

そして「楽しい」と感じることは個々人によって異なりますから、「その方向性を揃える」ということが大事になってきます。

これがチームの「スタイル」です。

 

スポーツでも「チームカラー」というものがあるかと思います。

豪快なチーム、緻密なチーム、驚きを求めるチーム、支え合いを大事にするチーム、・・・。

 

でも豪快なプレイに競技の楽しさを感じる人には、緻密な作戦を重視するチームだと窮屈さを感じますよね。

いくら優秀な選手でもチームカラーに合わなければうまく機能しません。

反対に、上手くいっていなかった選手が、自分の感覚に合う他チームに移ったことで活躍するといったこともあります。

 

ですので、組織はスタイルを鮮明にすることが大切です。

チームスタイルを鮮明にすることで、そのスタイルに共感する人を呼び寄せ、チーム員がお互いにいい影響を及ぼし合って自律的に成長していく好循環を生み出していくのではないでしょうか。

 

スタイルは、別の言い方をすれば「価値観」ということになります。

 

 

しかし、「価値観」は同じでも「役割」が同じ人がかぶるとこれまたうまく機能しません。

役割がかぶったときお互いに遠慮や牽制をし合って、チーム力としてはかえって低下することがあるからです。

これを心理学用語では「社会的手抜き」といいます。

 

やはり「同じ価値観」の下で帰属意識を感じながら、個々人の「個性に即して役割が分担」されていくのが望ましいでしょう。

そうすることで、自分はこの役割を任されているという責任感と期待されていることへの高揚感を感じ、内発的動機が芽生えてきます。

内発的動機は自走のエネルギーですよね。

 

 

さて、こういったことを組織の視点から考え、顧客や従業員の求心力を高めるよう改善していくのが「ブランド・コンサルティング」。生活者個人の視点から各人の個性と環境(家庭・職場など)の調和を再発見・支援していくのが「心理カウンセリング」だと私は考えています。

 

「こころと仕事のカウンセリング」は、そんな視野をもった新しいスタイルのカウンセリングを志しています。