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弱いロボット

私の好きな本に『<弱いロボット>の思考』(岡田美智男 著/講談社現代新書)というものがあります。

その中に、自分ではゴミを拾えない<ゴミ箱ロボット>というロボットが出てきます。

 

先週も「ゴミ箱」の話だったのですが、意図せず今週も「ゴミ箱」の話になってしまいました。笑

 

この「自分ではゴミを拾えない<ゴミ箱ロボット>」は、ゴミ箱に移動するための車輪がついただけのとても簡素な作りのロボットです。そのロボットは、ゴミを見つけてヨタヨタとゴミの方へやってくるのですが、手がないためゴミを拾いたくても自分で拾えず、ゴミの前でモジモジ困っているだけ。すると、その様子を見ていた周囲の人が、ゴミを拾ってロボットのゴミ箱に投げ入れてくれる。すると、ロボットはちょこんとおじぎをしたかのように体を傾けて、別のゴミを見つけに去っていく・・・というものです。

 

ロボットは、自分でゴミが拾える機能がなくても、ゴミを集めるという目的を果たしています。一方、協力してくれた人間も困っているロボットを助けてあげたという、なんとなくささやかな満足感を感じてしまうという代物です。実に面白いですね。完璧に掃除してくれるロボットじゃないのに、人に「ちょっといいことをしたなぁ」という満足感を感じさせてくれるなんて。

 

ここに実は、人間関係の秘密があるのではないでしょうか。

 

私たちはつい、人に迷惑をかけないように独りで何でもできるようにがんばろう。できなきゃダメだ。人に頼ってばかりでは役立たずになってしまう・・・と思って自分を追い詰めてしまいます。

 

一方で、独りで何でもやるようになると、今度は孤立してしまいます。他の人が共に暮らせるような「余白」がなくなってしまうからですね。

 

私たちは、少し強くあろうとし過ぎているのかもしれません。

 

人にはそれぞれ強みと弱みがあって、その弱みの「弱さ」が実は誰かにとっての「強み」を発揮できる「余白」であったりします。その「余白」がなければ「誰かの役に立てた満足感」というのは生まれてきません。ですので「弱さ」を介して、助けられる人/助ける人はお互いに幸せなんだといえますね。

 

何かをやろうとがんばっている。けどなかなか上手くできない・・・そういったことが多いかと思います。でも、そのがんばっている姿は誰かが見ていて、その誰かから「手助けしてあげたい気持ち」が引き出されてくる・・・。そうして相互に支え合っているのが、人間関係というものなのかもしれませんね。

 

 

「強さ」が価値あるものとされる世の中にあって、実は「弱さ」にこそ見落とされた価値がある。

人間関係を作っているのは、実は誰もが持っている「弱さ」なんだ。

 

この気づきが今日お伝えしたかったことです。

 

あなたも自分の「弱さ」にあたたかな目を向けてみませんか。