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『奇跡のレッスン』

NHKの『奇跡のレッスン』、あなたはご存じですか?

様々なスポーツ、芸術分野で「その道の一流と呼ばれる人たち」が学生たちを相手に短期間コーチしてくれるという番組です。

私はこの番組が好きで、放送があると必ず見ています。

 

先日は、「女子バスケットボール」を題材にした「トム・ホーバス コーチと女子高生バスケチームの回」を見ました。

 

高校生たちは、プレーに自信がなく、試合にも焦りが出て上手くいかないということが多々見られるという状況。

そんな彼女たちをコーチはどのように指導するのか。

オリンピックで女子バスケチームを銀メダルに導いたコーチですから、とても興味があります。

 

 

トムさんは、まずじっくり彼女たちの練習を観察し、基本的なステップ(パスを受ける際の足さばき)の修正から着手します。比較的背が小さい彼女たちチームが、高さではなくスピードで勝負していくには、基礎的な動きにスピードを高める改善が有効です。様々な小さなことに意図をもって取り組み、積み上げていくことで全体のプレーが構成される、とトムさんは説きます。そしてなにより、基礎(ファンダメンタル)を固めることで自信をもってプレーすることができるようになります。

 

また、トムさんは技術面の指導だけでなく、選手個々人の様子もコート内でプレーしている時だけでなく、体育館内にいる時すべてで目配りしていて、生徒一人ひとりを個人として理解しようと努めています。なので、生徒が相談してきた時にも、その人にあったアドバイスを返してあげることが可能となっています。そこには、生徒個人を理解し、その子ならではの成長を信じ、対話を通じてモチベーションを高めていく姿勢が貫かれています。

 

さらに、チームの中での個々人の役割を生徒自身に考えさせることも促してチーム力を養っていきます。ここでいう役割とは、ポジション別の決まった役割ではなく、「個人が得意とすることでチームに貢献できる行動」を指しています。ですので、3ポイントシュートが得意だから、それで得点をあげて貢献するという役割もあれば、落ち着いて全体を見ることができるからポイントゲッターを活かすようアシストするという役割もあり、一人が複数もっていることもあります。この役割がかみ合うことによって、チームが機能していくということになるわけです。

 

これはバスケだけでなく、職場や家庭など複数の人が協働するすべてのことに応用できるのではないでしょうか。

 

人それぞれの得意を理解し、本人も自覚し、その強みをもってチームに貢献していくことで喜びを感じられる環境を作っていく。

その個人の強みやチームとしての強みを作っていくために、日々の練習で基礎を固め、それによって自信をもって行動することができるようになる。そしてその背後には、好きな活動への情熱と他者への信頼、自分を含めたメンバーの成長可能性を信じる気持ちの強さがあるように思います。

 

そういった組織にチームを変えていくトム・ホーバスさんは、本当に素晴らしい指導者だなと思います。

トムさんは、生徒だけでなく番組視聴者にも生き方を教えてくれましたね。

 

トム・ホーバスさんに、そしてこういった番組を作ってくださった人たちに、本当に感謝です。

とても多くのことを学ばせてもらいました。