勝つことを目標としない

カーリング日本選手権 女子決勝が2月5日にあり、ロコ・ソラーレが優勝しました。

ロコ・ソラーレは、強いのはもちろんすごいのですが、楽しそうに試合をする姿がとても素敵ですよね。

テレビを見ているこちらまで試合に引き込まれてしまいます。

私も北海道に住んでいたことがあるので、あの方言で交わすコミュニケーションにグッと心をつかまれます。

そこには、素の心持ちからくる真剣さと楽しさと思いやりと勇気がにじみ出ているように感じます。

最高のチームですよね。

 

その日、試合後のインタビューで吉田知那美選手がこんなことを言っていました。

 

「私たちは勝つことを目標としていない。成長することを目標にしているチームだ。だから勝ち続けられるし、成長し続けられる」

 

テレビを見ながら記憶したコメントなので正確ではありませんが、このような主旨でチームの意識を表現していました。

これを聞いて、強さの秘密はこういったマインドにもあるんだなと納得がいきました。

 

 

心理学の研究でも「証明ゴール」と「成長ゴール」という2つの目標タイプがあるとされています。

 

「証明ゴール」は、「自分にはこれをする能力がある」「自分はどうすればいいかを知っている」。だから目標はそれを証明するための機会、という考え方です。この考え方だと、目標が達成できないと自分の能力が否定されることになってしまうので、「正しくできているだろうか?」「本当に達成できるだろうか?」と常に不安が湧き起こってきます。不安はパフォーマンスを下げる最大の要因なので、目標を意識することが逆効果に働いてしまいます。

 

受験を始め、近年の成果を前提とした仕事への取組みなどは、まさにこのような「証明ゴール」のマインド設定になっているといえるでしょう。心が苦しくなるのも無理はありません。

 

 

一方、「成長ゴール」の目標の位置づけは、「能力を伸ばして今まで出来なかったことを出来るようにする」という考え方です。この考え方に従えば、試合やテスト、仕事など様々なカタチで出会う困難は成長のための「学びの機会」であるため、たとえ上手くいかなかったとしても、そこから何かを学んで自分を成長させていくことができます。学ぶことで、出来なかったことが出来るようになることに一歩近づいていくのです。

 

仕事でも、何か純粋に研究したり、解明したり、チャレンジするようなときは楽しくて、積極的・自主的になったりしますよね。分からなかったことが分かったり、出来なかったことが出来たりするのは楽しいものです。また、たとえ上手くいかなくても自主的に考えて試みたことは、いい反省材料になったりします。

 

それが、「必ずこの目標を達成せよ」というお題が先にくると緊張と不安に襲われ、取り組みもミスの無いように完璧主義にとりつかれて余計な手間ばかり増えたりします。この状態が「証明ゴール」のマインドです。なんとも息苦しいですね。

 

 

こう考えると、ロコ・ソラーレの強さは不思議なものでもなく、必然の強さと言えますね。

 

さて、振り返って、ご自身の職場はいかがでしょう?

 

「ナイスーーーぅ」という声が響くようだといいのですが。