脳裏によぎった『エラー 失敗の法則』(NHK番組)

2024年は、何とも辛く痛ましい始まりとなりましたね・・・。

 

「令和6年能登半島地震」と「航空機衝突事故」。

 

突然に絶たれてしまった命があったことを思うと本当に胸が痛みます。

 

そんな突発的に起きた不可避な出来事ではありますが、地震・津波においては「東日本大震災」の記憶や経験が活かされ、避難が早め早めに進んだように感じられました。また、JAL航空機からの脱出も、短時間で見事全員命に別状なく避難できました。これもひとえに、避難誘導した人たちの日頃の訓練姿勢と実際に直面したときの平常心を保つ心の自制力のおかげだなと感じました。もちろん救えなかった命も多くあったでしょうが、避難誘導によって助かった命が多数あったのではないかと思います。

 

 

航空機事故を見て思い出したのが、以前NHKの番組で放送していた『エラー 失敗の法則』の中の「真相 ハドソン川の奇跡」という回。

 

かつて、ニューヨーク上空で全エンジン停止に陥った旅客機を、近くを流れるハドソン川に緊急着水させて乗客乗員全員を無事生還させたという事故を扱ったものです。

 

その奇跡の生還は一人の優秀なパイロットがいたからではなく、それ以前にあった悲惨な航空機事故から学びを得て、航空業界全体を挙げて事故防止に取り組んだことによる、言ってみれば“必然的な奇跡”でした。

 

 

そこで得られた学びとは、『ヒューマン・エラーは、「誰が・・・」ではなく、「何が・・・」を問うことだ』ということ。

 

 

とかく私たちは何か問題が起こった時、「誰が悪かったのか?」「誰が間違ったのか?」を追求し、その人を責めるような考え方をしてしまいます。そして、その解決策は失敗を起こさない“優秀な人”を起用することで対応しようとします。

 

しかし、いくら優秀な人であっても、大きな問題を一個人にゆだねた時、そのときの重圧やプライベートな心理状態など様々なバイアス(心理的偏り)がかかって、必ずしも適切に判断できるとは限りません。

 

それよりも「何が問題でその事故が起きることになったのか」を解明して、その「問題点」に対して対策を講じることが重要だというのが過去の航空機事故からの学びでした。

 

人を裁くのではなく、「誤った判断」が生じる要素をひとつひとつつぶしていく。

 

安全に対する判断で言えば、絶対的な権限をもつ機長ひとりにすべてをゆだねるのではなく、乗務員全員が「チーム」となって多角的な視点と対話をもって安全を多重に確保していくスタイルに変更する、という変化につながっていきました。もちろんそれ以外にも安全性の向上には、ハード面の改善でソフト面に盲点を生じさせないという打ち手もあったことでしょう。

 

要するに、問題を属人的にではなく構造的に考え、その欠陥を見つけ改善するということです。

 

 

2024年は悲しみと共にスタートすることになりましたが、この先これ以上悲しみを増やさないためにも、私たちは学びながら前進していくという強い思いをもってみんなで生きていきたいですね。

 

いろいろありますが、みんなでいい年にしていきましょう。